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赤い手は滅びのしるし -戦神編- 2章 第3話 —

『何を隠そう俺はD100の達人だ!』
『な、何だってー!?』
(シナリオ内では19日~22日経過)


▼参加メンバー

ヘルシア
ダメージディーラーにしてリーダー。必殺技はライノズ・ラッシュからの悪を討つ突撃
エオリア
パーティ最高のACを誇る壁。シャドウベイン・ストーカーになりました。
オルト
魔法と打撃で遠近攻守を兼ねる万能型。そろそろ前衛特化?
アシム
サイオニックウォリアーとしての本領が発揮されてきた。
アドリアン
……何の変哲もない召喚術専攻のウィザードですよ?
エノーラ
回復の要。今後の課題は戦闘中の暇っぷりをどうにかすること。

▼プレイリポート(以下アドリアン視点)
集落へ戻った我々を、ティリ・キトルの人々は歓迎してくれた。
だが、まだ問題が解決した訳ではない。
取り逃がしたリジャイアリクスの事もあるし、『赤い手』の情報は何も掴めていないのだ。
それでも、このグルガック達は我々を讃えてくれ、我々のために一対のロングソードを譲ってくれると言う。
『ルアサー超うめぇww《武器習熟:ロングソード》と+1ロングソード付いてくるとかwww』
『それで毎レベル呪文発動能力伸びるとかありえねー』
『さらにHDがd6、技能ポイント4+【知】修正値、おまけに2レベル目から夜目まで付くとかwww』
『ありえねー』
『普通なら前提条件が満たせないからな!』
…私は、このグルガック達の好意に報いることを誓った。神託は聞かなかった…いや、聞こえなかった。
『ところでこの+1ロングソードって売れるの?』
『売れるって書いてあるけど売らないよ!』
…今のはちょっと聞こえた。神託の主は少なくとも悪ではないようだ。混沌かもしれないが。
ともあれ、我々は夜が更けるまでティリ・キトルの人々と共に魂を送るため語り明かした。
『じゃあ天気決めようか。D100で。』
『まかせろ!…(コロコロ)…100!!』
『マジで!?』
『D100なら俺にまかせろ!』
翌朝我々の目を覚ましたのは、激しい雨音、建物が暴風によって軋む音、そして天に轟く雷鳴だった。
『台風キター』
『中型は吹き飛ばされます。大型は打ち倒されます。超大型は釘付けになります。』
『外に出たら帰ってこれないね!』
『逆に考えるんだ。吹き飛ばされたら転がりながら前に進めばいいと考えるんだ。』
『ねーよwww』
「これでは外に出ることもままならんな。」
「『赤い手』の動きも止まるはずです。」
「この台風、吉と出るか凶と出るか…。」
念のため、毎朝ディテクト・スクライングをかけておく事とした。
まさか『赤い手』の連中が大鏡を持って歩くような真似はするまいが、リジャイアリクスを逃がした以上は、我々の事が相手に伝わる可能性は充分にある。用心に越したことは無いだろう。
その晩、十を超える真珠を粉にして飲まなくてはならなかった事を記しておく。
噂によれば、魔術を信仰するボガブのクレリックは、真珠を飲まなくてもいいらしい。うらやましい話だ。
アイデンティファイの真珠は秘術呪文物質要素なのだ)
台風一過の翌朝は、抜けるような晴天だった。
我々は再び『レストの廃墟』へと向かう。
ひとつは、サールヴィスの死体にスピーク・ウィズ・デッドをかけるため。
もうひとつは、『アルワイ』の手紙に書いてあった、『不死王の経箱』を手に入れるためだ。
我々が、再び『レストの廃墟』を訪れると、既にサールヴィスの死体は無かった。
──もしや、リジャイアリクスが戻ってきたのか?
迂闊だった。少々無理をしてでも、我々はサールヴィスの死体を担いで帰るべきだったのだ。
「仕方あるまい。経箱だけでも確保しよう。」
「…出来れば、水に入るのは避けたい。」
まあ、そうだろう。フルプレートを着て水に入るのは自殺行為だ。
エノーラが何か唱えている。…ふむ、サモン・モンスターⅢか。
呪文が完成すると、4匹のセレスチャル・ポーパスが水面へと飛び込んだ。
ふむ。ポーパスは、水中ならば視界に頼らずとも状況が解る。それなりに考えたようだ……が。
「それっぽいものがあったら教えてね?」
水中へ潜ったポーパス達は、十秒程度で戻ってきた。
「…どうだった?」
「きゅーい。きゅきゅーい。」
「こっ、言葉が……解らないっ!?」
…エノーラは良い子だが、少々頭が足りないのが難点だ。
「は……箱はあったの?」
「きゅきゅ?」
「な…何も無かったの?」
「きゅきゅー。」
「………………。」
見かねたヘルシアがポーパスに話しかける。
「箱があったなら1回、何も無かったのなら2回鳴いてくれ。」
「きゅきゅきゅー。」
「………………。」
我々が沈黙している間に、セレスチャル・ポーパスは何処かへと還っていった。
「…箱ではない何かがあった、と言うことか。」
「行くしかないだろう。フリーダム・オヴ・ムーブメントをかけてくれ。」
ヘルシアが水へ飛び込む。
万が一の事を考えれば一人で行かせる訳にはいかない。
私とアシムも後へと続いた。
ウォーター・ブリージングのおかげで呼吸に困ることは無いが、前日の台風で視界は無いも同然、5フィート先がおぼろげに見える程度だ。
我々が闇雲に水中を捜していると、ヘルシアが扉を見つけたようだ。
「…鍵がかかっているな。斬るか。」
ヘルシアはアダマンティン・グレートソードを振りかぶると、石の扉へ叩き付けた。
水中に鋭い金属音が2度響き渡り、扉が泥の中へと倒れる。
扉の向こうは、どうやら開けた空間へと通じているようだ。隠すならば鍵のかかった内側だろうか?
我々が泥を掻き分けて経箱を捜していると、アシムが突然叫んだ。
「何か来るぞ!」
ヘルシアが扉の裂け目に、私がその隣に。アシムはやや後方に陣取る。
不慣れな水中とはいえ、このあたりは手馴れたものだ。
──はっきりと言えば、その直後に何が起きたのかは良く解っていない。
大きなドラゴンと思しき鼻先が見えたかと思うと、ヘルシアの周囲が赤く染まった。
グルガック達の言っていた「超大型のブラック・ドラゴン」とやらが実在したのか!?
エキスパンションか!』
『増幅…クラス持ちか!?』
正体はともかく、ブラック・ドラゴン相手に水中では分が悪すぎる。
ヘルシアとアシムに触れ、そのままサドン・サイレント・ディメンジョン・ドアで上へと戻る。
「これは酷い…一体何が!?」
「ブラック・ドラゴンだ。しかも、並みのサイズじゃない。」
「リジャイアリクス?」
「かも知れん。だが、あれほど大きくなるような呪文を、私は知らん。」
『〈サイオニック学〉頼む!』
『…サイオニックウォリアーはな、〈サイオニック学〉がクラス外なんだ…。』
『な…なんだってー!?』
「アドリアン、ヘイストを。」
「…一人で行くつもりか?無茶だ!」
「奴が逃げる!好きにさせる訳にはいかない!」
私は黙ってヘイストを唱える。
エノーラのキュア・ライト・ウーンズで傷を塞ぎ、フライのポーションを飲むと、ヘルシアは再び水の中へと飛び込んでいった。
「上だ。外へ出るぞ。」
我々は建物の外へと向けて走り出す。
『じゃあ機会攻撃を1発…(コロコロ)…命中。2発…(コロコロ)』
『〈迎え討ち〉持ちか!』
『…2発目はクリティカル可能域に入りました…(コロコロ)…クリティカル。』
『残り13点。』
『退いとけ。流石に死ぬぞ。』
我々が走り出してすぐに、血塗れのヘルシアが追い付いてきた。
「…図体の割に機敏すぎる!化物め!」
オルト、エオリア、エノーラがキュア・ライト・ウーンズキュア・モデレット・ウーンズを唱える。
我々はすぐに建物の外へ出たが、静かな水面が広がるだけだった。
「今頃は悠々と泳いでいるところでしょうね…。私でもそうします。」
「やはり、少々無理をしてでも一昨日のうちに捜しておくべきだった。」
「…スクライングするか。」
「ブリンドルへ戻りましょう。」
ティリ・キトルの集落に別れを告げ、我々は一路ブリンドルへと歩を進めた。
『コースは?魔女森突破?それとも湿地帯から街道?』
『森はねーよwww』
『湿地帯ランダムエンカウント振ろうぜ!』
『じゃあD100で』
『D100ならまかせろ!…(コロコロ)…07!!』
「…何か居るぞ!」
湿地の中から顔を覗かせたのは、2体のジャイアント・クロコダイルだった。
あっと言う間にヘルシアが齧られる。
私がビナイン・トランスポジションで入れ替わり、にわかの移動でクロコダイルの口から逃げ出した時には、もう1体にオルトが齧られていた。
再びにわかの移動で距離を取り、サドン・マキシマイズ・ファイアボールを放つ。
この一撃で、2体のうち1体が湿地に沈み、もう1体はヘルシアが打ち倒した。
馬が逃げてしまったため、再度リーガル・プロセッションで馬を呼び、湿地帯を抜ける。
馬を降りてレオムンズ・セキュア・シェルターを建てる場所を探していると、6体のゴブリンと、2体のバーゲストの姿が見えた。
『D100で距離を決めてくれ。端数は切り捨て』
『D100なら俺に任せろ!…(コロコロ)…91!』
『遠ッ!?』
特に危なげもなく打ち倒したが、ゴブリン達は妙な攻撃を仕掛けてきた。
呪文では無い様だが…危険な能力だ。いずれ、検討を付けておく必要がある。
ちなみに、裂かれたバーゲストの腹からは数万枚の銀貨が零れ落ちた。
置いていくのは随分と勿体無い気もしたが、我々が背負える荷物には限りがある。諦める事とした。
『じゃあ天気決定のD100を』
『D100なら俺に(ry』
『熱波キター』
蒸し風呂のようになったシェルターの中で、我々は目を覚ました。
『これは行軍できんね…』
エンデュア・エレメンツだな』
『馬にもかける?』
『ちょっとまった。計算する。馬は要らんかもわからん。』
リーガル・プロセッションを2回使えばいけるな』
馬はおかわりできる呪文の数には限りがあるので、馬達が熱気で倒れる前に乗り換える事にし、魔女村へと向かう。
我々が村に着いて早々に、女性の悲鳴が聞こえた。
「まだ、非難していない者が居たのか!?」
「急げ!」
宿らしき大きな建物の前で、一人の女性を、4人の男達が取り囲んでいる。野盗だろうか。
「悪党ですね」
私が何か言うよりも早く、エオリアが囁き、ヘルシアが叫ぶ。
「貴様達、何をしている!」
「ぁぁん?お前等には関係ないだろう?」
「その手を離せ!」
『…殺るか?』
『いや、非致傷でいこう。』
『斬撃とか刺突でもいけたっけ?』
『いける。-4ペナルティ。』
『…DM、俺はいきなり呪文をかける!不意打ちラウンドをくれ!』
『マジで!?殺さないって言ったじゃん!』
ビナイン・トランスポジションでその女性とヘルシアを入れ替える!』
『それだwwwwwww』
(ここで野盗視点)
あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
『おれは女の腕を掴んでパラディンを睨んでいたと思ったら、いつのまにかパラディンの籠手を掴んで女を睨んでいた』
な…何を言ってるのか、わからねーと思うが、〈呪文学〉の無い俺には何をされたのかわからなかった…。
頭がどうにかなりそうだった…。(物理的な意味で)
(ここからアドリアン視点)
あっけに取られる男の脳天に、ヘルシアが剣の腹を叩き付ける。
『クリティカル可能域に入りました…クリティカル!固定値30点!』
男達の目がヘルシアに向いた隙に、エノーラが他の一人の脇腹にショートソードを突き立てていた。
『急所攻撃!』
『殺す気満々じゃん!?』
『何故なら私はシャドウベイン・ストーカー!悪は許さない!』
『ぎゃー!?』
一人が崩れ落ちるのを見て、3人は慌てて逃げようとする。
エオリアに刺されていた男は、ヘルシアに背を向けた途端に地面に転がった。
残り2人は、事もあろうに魔女森の方へと走っていく。
「待て、止まるんだ!森は危ない!我々は命までは取らん!」
「お前ら殺る気満々じゃねーか!信じるかよバーヤバーヤ!!」
我々は、気を失った二人を宿に運び込み、少々話を聞かせてもらうことにした。
「お前達は何者だ?なぜこんな所に?」
「俺達は『赤虎』だ。何をしてるかなんて、見りゃ解るだろ。」
「…お前たちの仲間は?」
『〈はったり〉…お、出目20!』
「………俺達4人だけだ。」
ゾーン・オヴ・トゥルース。…もう一度言ってください。ハイローニアスの神官の前で、嘘は許されません。」
『持ってきてるのかよ……20出た!』
『なら〈真意看破〉だ!誰か成功するだろ…よし!』
「実際には何人だ?」
「教えられないな。」
「…そうか。なら仕方ない。ブリンドルへ戻れ。この辺りは、やがて戦場になる。ホブゴブリンが戦争を仕掛けてくる。」
「…所詮、ホブゴブリンだろ?」
「奴らはドラゴンをも従えている。」
「…どっ…ドラゴン!?…で、でも、あんたたちは…アレだろ?倒したんだろ?」
「いや。逃げられた。今はその辺を飛び回っているはずだ。」
「(ガクガクブルブル)」
「お前たちは、ホブゴブリン達とは関係無いんだな?」
「…あるわけねーだろ。」
「…ホブゴブリン達…『赤い手』の連中と関わりがあるのなら、放ってはおけない所だった。」
「…『赤い手』ね。せいぜい気をつけるさ。」
「今のブリンドルには、一人でも多くの戦力が必要だ。お前達も、生きたいなら共に戦ってくれ。」
「…だ、誰が戦うかよ!そんなの!」
「…あのう、私、放置ですか?」
「……おお、君は?」
「……ミハ・セレイニと言います。ブリンドルの『獅子』の一人です。」
ミハは、ブリンドルの領主達が我々を捜しているのだと言う。
「丁度良い。我々もブリンドルへ向かおうとしていた所だ。」
『赤虎は仲間になりそうな気はするね。固有名詞あるし。』
『とりあえずはブリンドルが先かな。』
『聞きたい話は聞いたし…この2人は逃がそうか。さあ、森へお帰り。』
解放すると、『赤虎』の2人は馬車に乗って森へと逃げていった。
彼等も、心からの悪人では無いと信じたい。
「ブリンドルには君達が必要だ。後で迎えに行く。」
「そ…そんな話には乗らないからな!(照)」
『ツンデレwwww』
ミハを連れてブリンドルへと向かう。
少々無理をさせてしまったが、ミハは大して疲れた様子も見せなかった。
ブリンドルに着いた頃には、日が沈みかけていた。
ミハの勧めもあり、我々は大きな屋敷に通された。
そこに待っていたのは、
ブリンドルの領主 カーデン・ジャルマース卿。
ペイロアの司祭 “黄金の眉持つ”トレドラ。
『獅子』の ラース・アルヴァース隊長。
“赤の”イマースタル導師。
商家の当主 ヴェラサ・カール女史。
『ドレリンの渡し』のノロ・ウィンストン代表。
そして、ティリ・キトルの長、”星の歌い手”セリリア。
詳しい話は省くが、その晩には、戦術を立てるための会議が行われた。
ブリンドルの人々は、『赤い手』と戦う決意を固めたようだ。
聞けば、ドワーフ氏族にも協力を求め、荷馬車が出ているという。
戦術についての意見を求められたが、我々の返答は決まっていた。
「城壁は壊れたら直せばいい。しかし、失われた命は簡単には取り戻せません。」
彼等は賢明で、我々の提案を受け入れてくれた。
夜が明けたら、スクライングを唱えよう。
『不死王』が敵に回るのが避けられないのであれば、先に潰しておくしかない。


Categorised as:赤い手は滅びのしるし



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