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赤い手は滅びのしるし -戦神編- 3章 第3話 —

▼前回までのあらすじ

『……ガチで死霊王殺りにいくか?』
『ちょっと経験点が必要になったからな』

▼プレイリポート(以下アドリアン視点)

(プレイ結果を元に捏造分が含まれています。ご注意ください)

死霊王の根城

翌日。我々は再び茨の荒れ野に挑み、死霊王の根城を目前にしていた。
途中、数度に渡りライオンのゴーストが行く手を阻んだが、我々は止まることなく進み続けた。
「……これは、一度見たら忘れられんな」
テレポートで戻ってこられそうですか?」
「間違いなく」
死霊王の根城は、伏せたスフィンクスを模した大きな遺跡だった。
胸の部分には、15ftほどの穴が開いており、中には青い鱗が何枚か落ちている。
おそらくは、昨日のビーヒアのものか。
「入り口は……上か」
スフィンクスの口にあたる部分へ、フライディメンジョン・ドアで降り立つと、喉にあたる部分に扉が見える。
エオリアが扉の様子を調べ、そして硬直した。
そっとこちらを振り返り、扉を2度指差し、手で扉を押さえる真似をする。
(中から 誰か 扉を 抑えている)
フル・プレートの重い金属音が響く。
ヘルシアが一歩前に踏み出し、扉を強引に押し開く。
ゴブリンの後ろ姿が、あっという間に闇の中へ消えていった。
「……赤手の者か」
「行くぞ。おそらく、罠は無い」

撤退

螺旋階段を下りると、そこは一面霧に包まれていた。
濃密な霧は視界を遮るが、何も見えなくなるほどのものではない。
オブスキュアリング・ミストだ……呪文使」
次の瞬間、扉が勢い良く開かれ、数人のホブゴブリンが飛び込んできた。
奴等は妙な鎖のような武器を持ち、我々に組み付こうと強引に突進してくる。
普段の我々であれば、恐れるには足らぬ相手だが、ゴーストとの戦いで我々は疲弊していた。
「降伏なさい!」
扉の向こうから、呪文を唱える声とは別の声が聞こえる。
多少高く聞こえるその声は、おそらくホブゴブリンの女性のものだ。
苦戦は必死だろうが、降伏を受け入れるほどに勝ち目が無いわけではない。
視界を確保するため、ブラスト・オヴ・フレイムを唱える。
轟音と共に業火が吹き荒れ、霧が焼き払われると、ホブゴブリン達の形相が変わる。
彼等は自分の身が傷つくのを厭わず、我々を取り押さえようとしていた。
扉の向こうから、再度悲鳴のような声が聞こえる。
「死霊王の怒りに触れるわ!諸共に焼き払われたくなければ、帰りなさい!」
……今、なんと言った?
死霊王は、赤手の連中と手を結んでいるのでは無かったのか?
様子がおかしい。奴等も、完全に死霊王を掌握しているわけではないのか?
『……どうする?』
『万全ならともかく、ここに死霊王が加わると2人死ぬ』
『目的(テレポートの下見)は達成してるし、ここは受け入れるべきか』
「……いいだろう、今日のところは退こう!」
叫ぶと同時に一歩下がり、バッグ・オヴ・ホールディングを大きく開くと、その中にエオリアとアシムが飛び込んだ。
すかさずテレポートを唱え、我々はブリンドルへ撤退した。
余談だが、バッグ・オヴ・ホールディングを買って以来、人間か死体のどちらか以外を入れた事がない。
NAGOYAと言う単語が、時々聞こえるような気がする。
「あの声は……竜魔将だったのでしょうか?」
「……おそらくは。あの声の主が、アルワイなのだろう。例の手紙の主だ」
「少々毛色が違う相手のようですね」
とはいえ、敵には違いない。
声の主を明らかにするべく、スクライングを唱えると、アルワイの姿が映る。
比較的整った顔立ちをした、女性のホブゴブリンがそこにいた。
ホブゴブリンにしては、美人の部類に入るのだろう。
彼女の傍らには、身体の焦げたゴブリン達が寝かされていた。
まったく動かないところを見ると、死んでいるのだろう。
私の炎は命を奪うまでには至っていないはずだが……まさか、死霊王にやられたのか?
アルワイがゴブリン達を弔い始めたところで、その姿がぼやけて消えた。
「……敵に、借りができてしまったな」
「……戦場で会う前に、もう一度アルワイと話をしておきたい」
「明日、もう一度行くとしよう。スクライングを通すのはそれほど難しくない」
どちらにせよ、1日は休息が必要だ。我々は疲弊しすぎていた。
ペイロアの信者達とは違い、我々はアンデッド共との戦いを得意としているわけではない。
ゴーストの歪な生命力は、確実に我々の生気を蝕んでいた。
翌朝、レッサー・レストレーションレストレーションで力を取り戻した後、再度スクライングを唱える。
アルワイは砂漠を行軍していた。
引きずるような足音がいくつも聞こえる。
ゴブリンではないようだが、何か連れているのは間違いないようだ。
「行くぞ」
テレポートを唱え、私と、オルトと、ヘルシアの3人だけが、再び茨の荒れ野に降り立った。

撤退

アルワイは、奇妙なクリーチャー達をつれていた。
あれは確か、ボーンドリンカーというものだ。戦力として死霊王から借り受けたものなのだろう。
本来であれば、討ち倒さねばならぬ相手だが……。
我々の姿を確認すると、アルワイはボーンドリンカーを後ろに下げ、一人で前に出た。
こちらも、ヘルシアが一歩前に出る。
「竜魔将アルワイだな」
「……私を倒しに来たの?」
「いや。少し、聞きたい事がある」
「なぜ、あの時に警告した?」
「死霊王の力は私達の手には余るもの。彼をあまり刺激するのは得策ではないの」
「経箱はおそらく、近いうちにあなた達の手に渡る。私達の目的は達したわ」
「……”それ”がそうか」
「あなた達の相手にはならないでしょうけど」
「他には?もっと聞きたいことがあるのではないの?」
「本当なら、な。だが、私達には借りがある」
「次は、戦場で会おう」
「ええ」
結局、テレポートでその場を後にした。
戦えば討ち倒す事は容易だったが、我々の信念と信仰が、それを許さなかった。
「……厳しい戦争に、なりそうだな」


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