人間が少ない(ダーグーンの住人は8割ゴブリン類である)ため、探すのは容易だった。
『フェイリン』は『ローズ・クオリー』への道案内を180gpで引き受けると言う。
3人の所持金は少なかったが、今後の事を考えると、ここで値切るべきではないと判断した。
マーケットの外れへと向かう4人の前に、2人のバグベアが立ちふさがる。
「イカサマ野郎!金を返しやがれ!」
「何を言う。あれは正当なギャンブルだったはずだ」
3人があっという間にバグベアを叩きのめすと、『フェイリン』は悪びれた様子もなく言った。
「助かった。バグベア共は騙しやすいが、血の気が多くていかん。早いところ街を出よう」
マーケットの外れで、『フェイリン』はドラゴンマークを掲げ岩の中から車両を呼び出す。
「それは?」
「エレメンタル・バギーだ。アース・エレメンタルの力で走る。さあ乗れ、先は長いぞ」
エレメンタル・バギーはどんな悪路をも走破する能力を持ち、その速度はケンタウロスをも上回る。
大した危険も無く、3日目の夜には『ローズ・クオリー』に到着した。
「この丘の向こうがローズ・クオリーだ。だった、と言うべきかな。危険があるようなので、私はここで待つ」
丘を超えると、明かりが見える。
焚き火の周りに、5つ6つの人影が見て取れた。
(……多いな)
(夜は分が悪い。日が昇るのを待とう)
3人はその場を離れ、『フェイリン』の元へ戻り、バギーで数マイル離れて野営を始めた。
翌朝戻ってくると、焼け落ちた建物の周りはガラス質の何かで固まっているのが見て取れる。
今ではないずっと昔に、凄まじい熱量が『ローズ・クオリー』を襲ったのだ。
(5、6……7人か。思ったより人数が多い)
(全員じゃないだろう。クレリックかウィザードか、キャスターがいるはずだ)
野営地を避けて回りこもうとした所で、ガラス質に覆われたゾンビと出会う。
ゾンビを砕く音を聞きつけ、野営地から何人かの兵士が。
さらにはクレリックとウィザードが駆け寄り、たちまち乱戦となる。
消耗しながらも兵士を倒すと、ウィザードとクレリックが『ローズ・クオリー』の奥へ逃げていく。
深追いは危険だと判断し、呪文を覚えなおすべく、再度離れて野営を行う。
……そんな野営で大丈夫か?
DM「”蝕”(事故率の高いランダム・エンカウントを示す某所の方言)は?」
PL「呼ぶ。金が無いから当然呼ぶ」
DM「一度”蝕”を呼ぶとキャンセルは聞かないが大丈夫か?」
PL「一番いい”蝕”を頼む」DM「野営中のランダムエンカウント……出た?D3を振ってね!1回でいいよ!」
PL「……3」
DM「聞き耳を振ってね!視認も振っていいよ!」
PL「うちのPTローグいねーから!」
DM「じゃあ、3体の棍棒を持った大型の生物が60ftぐらいのところで見えたよ!」
PL「棍棒」
PL「おい脅威度ヤバい死ぬ」DM「《強打》全部載せてクラブを振り回すオーガ△!」
PL「残りHPは?」
PL「次当たったら死ぬ。-10まであり得る」
DM「オーガさん①が「自慢じゃないが「ダーグーンのイチローですね」と言われた事もある」って言うwww」
PL「ちっくしょう、調子に乗りやがって」
DM「オーガさん②がクレリックを機会攻撃範囲に収めて、オーガさん③はケンを挟撃位置に移動」
PL「あっ」
PL「……死ぬなコレ」結局、『フェイリン』がイニシアチブを遅らせ、機会攻撃をなんとか回避した3人がバギーに乗り込む。
一回走りだしたらオーガさんじゃ追いつけないので、この遭遇は終了。這々の体で一泊し、翌朝『ローズ・クオリー』へ戻ると……
そこにはもう誰もいませんでした。
Categorised as:D&D3.5e | 最終戦争の影
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