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赤い手は滅びのしるし -戦神編- 1章 第2話 —

▼前回までのあらすじ
「ドレリンの渡し」に訪れた危機を救うため、ハイローニアス神殿から騎士御一行がやってきた!


▼参加メンバー

ヘルシア
パーティリーダーにしてダメージディーラー。
ライノズ・ラッシュからの悪を討つ突撃が当たれば大規模ダメージ確定。
エオリア
ヘルシアの腹心。
《攻防一体》と防御的戦闘を駆使してパーティ最高のACを誇る壁役。
アドリアン
召喚術専攻してる普通のウィザード。
主にグリースが猛威を振るう。
エノーラ
アドリアンの腹心。
回復特化してる分、戦闘中は暇しがち。
オルト
前のめり系クレリック。
ディヴァイン・フェイヴァー使用時はヘルシアに続く戦闘力。
アシム
オルトの腹心。
《サイオニック射撃》を駆使するアーチャー。ダメージディーラーまであと一歩?

▼プレイリポート(以下アドリアン視点)
グリーンドラ…失敬、「緑色の鱗を持ち酸を吐く爬虫類様の怪物」(私の〈知識:神秘学〉では良く解らなかった。いずれ調べておく必要がある)と、多数のホブゴブリンが守る橋を(物理的な意味で)落とした我々は、「ドレリンの渡し」へ戻ることにした。
ホブゴブリンが身に着けていた武器と鎧は回収した。
野盗の様で後味が悪いが、置いていけば、いずれ進軍してくる敵の手に渡るだろう。
何より、今の「ドレリンの渡し」にはよく出来た剣と弓が必要だ。
念のため、橋から1時間ほど離れた場所にキャンプを張る。
見回りに出ているホブゴブリンが居ないとも限らない。夜襲は避けられるなら避けたいものだ。
無事に翌朝を迎えたため、テンサーズ・フローティング・ディスクを浮かべ、リーガル・プロセッションで馬を喚んだ。
少なくとも、武器と鎧を担ぎ、足で歩くよりは幾分かマシになるだろう。
途中、がさごそと何かが蠢く音がした。
森から這い出てきたのは、ムカデの群れ(センチピード・スウォーム)だった!
「いかん!」
とっさに放ったマキシマイズ・ファイア・ボールは、群れの大半を焼き払ったが、残ったわずかな群れを焼き払うのに我々は随分と苦労した。
我々の中で、火打石と打金、そして松明を持っているのがアシムだけであったことは、恥ずべきことだった。
皆、「誰か持ってるだろう」と思っていて、野営の際にはアシムに火付けを任せきりだったのだ。
町に戻ったら火打石と打金を買おう、と誰もが思った。
我々は、帰路にある砦とやらを確認しておく事にした。
私の貧しい〈知識:歴史〉に因れば、ヴラース砦と呼ばれていたはずのこの砦は、昔人間の砦だったはずだ。
怒れるジャイアントによって、攻め落とされてしまったのだが。
狩人のジョールからは、我々の前に冒険者が訪れたと聞いていた。
最早、残るのは殺戮の跡だけだろうと思っていたのだが、砦は、ホブゴブリンによって護られていた。
──おかしい。冒険者達は偵察だけで戻ったのか?ジョールは何も聞いていなかったのか?
ともかく、この砦が未だホブゴブリン共の拠点であることは確かだ。ならば、我々の為すべき事は、ただひとつしか無かった。
ずっと昔に、人間が護った砦を、今になって人間の我々が攻める。奇妙な縁もあったものだ。
テンサーズ・フローティング・ディスクは便利だが、融通が利かないのが難点だ。
馬と違って繋ぎ止めて置く事もできないため、ホブゴブリンの武器と鎧は少し離れた茂みに隠した。
砦を攻めるには、それなりの準備が必要だ。
『時間呪文、10分呪文、1分呪文の順に唱えよ』との声が聞こえた気がしたが、これが神託だろうか。
ともあれ、エノーラがコンヴィクションのワンドを振り、オルトはシールド・オヴ・フェイスサークル・オヴ・プロテクション・フロム・イーヴルの呪文を唱えた。
ヘルシアとオルトがブレス・ウェポンで武器を祝福する間に、私はフライの呪文でヘルシアを浮かせた。
砦までの距離はおよそ100フィート。
アシムの矢音がドラムの変わりとなり、我々の小さな攻城戦が始まった。
矢は砦周辺を警戒していたウォーグに深々と突き刺さった。(クリティカルヒットによる3倍ダメージ)
ゴブリンは、傷ついたウォーグを駆り立てて、果敢にも突撃してきた。
私はベーコンの切れ端を触媒に、グリースの呪文を唱える。
ウォーグが足を滑らせるのを見て、私は少し安堵した。もう彼らが立ち上がってくることは無いだろう。
オルト、エノーラ、エオリアが、彼らを囲んでいた。
ホブゴブリンが、城壁の矢窓から弓を射ってきたため、ヘルシアが空を駆けて、ゴブリンへ切りかかった。
砦の中へ逃げ込んだゴブリンが、大声で喚き立てているのが聞こえる。
「──新手が来るぞ!」
ホブゴブリンが数人、砦の奥から飛び出てくるのが見えた。
壊れた門のあたりに、再びグリースで脂を敷く。
ホブゴブリンの一人が見事に転び、他のホブゴブリンが足を止めた。
ヘルシアは城壁の上のホブゴブリンを屠り、門の逆側に狙いを定めた。
そして、ヤツ──マンティコアが現れた。
高所を取るため、城門左手の建物の屋根から、ぬっと姿を現したマンティコアの唯一の誤算は、頭上にヘルシアが待ち受けていた事。
ヘルシアの悪を討つ一撃がマンティコアの身体に深々と食い込んだ。
だが、マンティコアは苦痛に耐えて、ヘルシアの身体を捕らえる。
ヘルシアが引き摺り下ろされたのを見て、私は地面に手を付いた。
次の瞬間、私の目の前にはマンティコアがいた。ビナイン・トランスポジションの呪文だ。
マンティコアが状況を理解するよりも早く、にわかの移動で私はヤツの爪から脱出した。
ありのままに今起こった事を言えば、「パラディンを捕まえたと思ったらウィザードに逃げられていた」という事だ。
何が起きたか解らなかっただろうが、私だけには何が起きたのか全て解っていた。
超常能力だとか擬似呪文能力だとか、そんなチャチなものでは断じてない。
もっと恐ろしい変則能力の片鱗を、ヤツは味わったはずだ。
再び空中に舞い上がったヘルシアの一撃で、マンティコアは力尽きた。
「──逃げられる!」
ヘルシアが、遠くを見ていた。
──何者かが逃げる?空を飛んで?ウィザードか、あるいはソーサラーか?
『追うか?』
『倒せなくて一発系呪文喰らったら終わるぜ』
『やるなら全力でやるべき』
随分と俗っぽい神託だ。しかも何か相談している。
一人で行かせるべきか迷ったが、私はヒューワーズ・ハンディ・ハヴァサックからヘイストのスクロールを抜いて読み上げた。
ヘルシアがライノズ・ラッシュと叫び、アダマンティン・グレートソードを担いだ。パラディンの必勝形である。
『《強打》全部、当たれば4d6+36点!』
『うわぁぁぁ、1がぁぁぁぁぁ!』
悔しそうな神託が聞こえた気がしたが、あえて聞かなかった事にした。
──1は振るな。どこの偉人の言葉だったか。
気を抜いた瞬間に、背後を取られた。
「──ミノタウロス!?」
しかも、空を飛んでいる。先ほど逃げた何者かは、ソーサラーだったのか!
身の危険を感じた直後、ヘルシアがミノタウロスに向かって突撃した。
私はにわかの移動で城壁を越え、砦の内部へ身を隠す。
『あっ、グレートアックスがクリティカル』
『GYAAAAAAAAA!!』
『丁度50点』
『HP-3』
『…マッシヴ(大規模ダメージ)じゃね?』
『(コロコロ)…あっ…2。』
神託はヘルシアの命の危機を告げていた。これはマジで死ぬかもわからんね。
「アドリアン!」
エノーラの呼ぶ声がする。何か壮絶な事が起きたに違いない。
『頑健セーヴ…15!』
『生き残った!!』
『死んだかと思った』
『殺したかと思った』
『回復…って、空飛んでるから届かないじゃん!!』
『持ってて良かったクローズ・ウーンズ!』
私が再びにわかの移動で壁を抜けたとき、全ては終わっていた。
コンヴィクションエイドプロテクション・フロム・イーヴルか。
何が彼女の命を救ったかは解らないが、ヘルシアは奇跡的に一命を取り止めていた。
そして、ミノタウロスはその命を絶たれて地面に横たわっていた。
残党狩りを終えた我々は、砦の捜索を始めた。
逃げた何者かは、どうやら「コス」と言うらしい。
寝所はあらかた片付けられていたが、ベッドから何本かの毛を手に入れた。
いずれ、スクライングする機会もあるだろう。
隠し扉を見つけた我々は、砦の一部屋を借りて休息を取り、翌朝地下へ潜った。
ヴラース伯の亡骸と、青白く輝く+1 フロスト・バスタードソードがそこにあった。
スタッフ・オヴ・ライフらしきものがあったが、私が知っているそれとは少々異なるようだった。
そこには砦の権利書、ガントレット・オヴ・オーガ・パワー、ジャイアント用のスパイクト・ガントレット等も置いてあった。
我々は、一時の安全が訪れた事を伝えるため、「ドレリンの渡し」へと戻った。
武器と鎧を運ぶため、テンサーズ・フローティング・ディスクを3枚浮かべなければならなかった事だけ記しておく。


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