『おまえらが経箱取らないから!取らないから!』
『戦闘狂でサーセンwww』
(プレイ結果を元に捏造分が含まれています。ご注意ください)
『街道沿いならともかく、レンジャーなしで荒れ野に入ったら迷って死ぬね』
『馬を潰しながら無理矢理加速してるだけだしね』
翌日、私はアシムと共にカール女史の元を訪れていた。
女史が、死霊王の住む”茨の荒れ野”の地図を持っている、と言う話を耳にしたからだ。
経箱が手に入ればその足で、手に入らなくとも近いうちに死霊王の元へ向かう事になるのは間違いない。
急な申し入れにも関わらず、カール女史は我々のために時間を割いてくれた。
ここからが問題だ。女史が、地図を手放す事に同意してくれるかどうか。
死霊王の縄張りの地図ともなれば、簡単には値段が付けられまい。
財布が空になるぐらいは、覚悟しておかねばな。
「”茨の荒れ野”の地図をお持ちですね?」
「……あの不毛の土地に、一体どのような用が?」
ヘルシアのように人を惹きつける力があるならともかく、私に出来る事といえば、ありのままに全てを話す事だけだ。
経箱を入手できなかったこと、再度リジャイアリクスを倒しにレストの廃墟へ向かう事、そして、経箱を取り戻す事ができなかった場合は、死霊王と戦う覚悟もあることを伝えると、女史は盛大に笑い、首を横に振る。
「やめておきなさい。あれは生あるものには手を出せぬ存在。死にに行くようなものよ。……まあ、その覚悟だけは評価できるけれど」
「我々も無駄に死ぬつもりはありません。何とかして経箱を取り返し、死霊王とは交渉するつもりでいます」
もっとも、そう考えているのは私だけなのだろうが。
ここに連れて来たのがアシムだけでよかった。
他の4人は、ハイローニアスに直接の誓いを立てている。
アンデッドとの交渉は、受け入れがたいものだろうからな。
「……状況はよく理解できました」
「それでは」
「ですが。商売を生業とする者として、商品をタダでお渡しする事はできませんわね」
「……ならば、いかほどで譲っていただけますか?」
「この地図に値段をつけるつもりはありませんの」
わずかに微笑んだかと思うと、女史の顔から笑みが消える。
「この地図の対価として、ひとつ、約束をしていただけないかしら」
カール女史に見据えられて、私は思わず息を飲んだ。
商売人に金貨以外の物を要求されるほど恐ろしい事は無い。
“対価”の内容によっては、破門される可能性もある。
「……私に出来ることであれば」
少し悩んだが、私は頷くことにした。我々には、選択の余地が無いのだ。
「そんなに難しい事では無いわ」
「あなた方が、この街のために最後まで力を貸してくれる、と」
「そう約束して頂けるのなら、この地図をお渡ししましょう」
その言葉を聞いて、私はようやく脱力した。
何のことは無い。我々が女史を信用していなかったのと同程度には、女史も我々を信用していなかったのだ。
「我々は、この地の脅威を討ち払うために遣わされたハイローニアスの剣。邪悪を前に猛ることはあれど、臆することは決してありません。この戦争が終わるまで、我々はこの街と共にあります」
「結構。では、この地図をお渡ししましょう」
「経箱が手に入らなかった時はどうするつもりなのかしら?」
「その時は、死霊王を打ち倒すまで」
「……経箱なしで、リッチの相手をすると?本気で言っているの?」
「勝算はあるのです」
「……まさか?」
「最も、高い数字では無いですが。おそらく4割。相撃ちを良しとしても6割」
「……何者なのですか。あなた達は」
「先ほども申し上げましたが」
「我々は、この地の脅威を悉く討ち払うために遣わされたハイローニアスの剣です」
Categorised as:赤い手は滅びのしるし
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